「同人グッズを作りたいけれど、依頼先や頒布方法がわからない」
「同人グッズの販売数を伸ばすコツを知りたい」
このような悩みを抱えていませんか?
現在、同人グッズは小ロットから気軽に作成できるため、同人イベントでグッズをメインに頒布するサークルが増えています。しかし、同人グッズを頒布するには、守るべきルールや注意点があります。
この記事では、同人グッズの作成・販売方法や注意点、販売数を増やすためのコツを紹介します。
同人グッズとはどのようなもの?
同人グッズとは、漫画やアニメ、ゲームなどの既存作品を題材に、ファンが自作した二次創作グッズの総称です。
アクリルスタンド、キーホルダー、スマホケース、食器類など、その種類は多岐にわたります。
同人グッズは、作品やキャラクターへの愛情を表現したり、ファン同士の交流を深めたりするために作られるのが一般的です。
他にも、同人誌のノベルティとして作成されることもあります。
同人グッズの販売方法
ここでは、作成した同人グッズの主な販売方法を2つご紹介します。
- 同人イベント
- 通信販売
それぞれのメリット・デメリットを比較し、自分に合った方法を選びましょう。
同人グッズの販売方法1.同人イベント
コミックマーケット(コミケ)をはじめとする同人イベントでは、同人誌だけでなく同人グッズも頒布できます。
イベントには多くの参加者が集まるため、一定の販売数が見込めます。
特に大規模なイベントでは、国内外の参加者が訪れるため、大きな売上につながる可能性もあります。
一方、多くのサークルがグッズを販売するため、ジャンルやデザインによっては工夫をしないと販売数が伸び悩むこともあるため、工夫が必要です。。
また、イベントが開催されるのは大都市圏が中心のため、地方在住者は参加しにくい点がデメリットです。
同人グッズの販売方法2.通信販売
通信販売は、宅配便等を利用してグッズを販売する方法です。
通信販売には、自家通販と委託販売の2種類があります。
自家通販とは、自分で注文の受付から発注まで行う方法です。「BOOTH」や「おうち通販FOLIO」といった自家通販サイトを利用すれば、匿名発送や多様な決済方法に対応できるメリットがあります。
ただし、注文が大量に入ると対応に手間がかかります。
委託販売は、業者にグッズを預けて注文のとりまとめから発送まで委託する方法です。
「とらのあな」や「メロンブックス」等が委託を受け付けています。
委託販売を利用すれば梱包、発送の手間がかかりません。その代わり委託料が一定額かかります。
また、委託できないグッズもあるため、委託を検討している方は一度委託を受け付けているところに問い合わせてみてください。
通信販売の方法に関するメリット・デメリットを以下の表にまとめました。
通販方法 | メリット | デメリット |
自家通販 | ・販売できるグッズに制限がない
・自家通販サイトは利用料が安価 |
・注文の確認から発送まで自分で行う必要がある |
委託販売 | ・注文の確認から発送まで任せられる
・大量の注文が来ても安心 |
・委託料がかかる
・委託できないグッズもある ・委託できる期間に制限がある |
同人グッズの販売数をアップする3つのコツ
せっかく作った同人グッズをより多くの人に届けたいと考える方のために、販売数アップのコツとして以下3点を紹介します。
- キャラクターが映えるデザインを考える
- 人気のあるグッズを作成する
- 手に取りやすい価格設定をする
同人グッズの販売数を伸ばしたい方はぜひ参考にしてください。
同人グッズの販売数をアップするコツ1.キャラクターが映えるデザインを考える
グッズを購入するのは、作品やキャラクターのファンです。
キャラクターそのものが魅力的に見えるデザインを第一に考えましょう。
キャラクターを直接描くだけでなく、象徴的なアイテムや色を組み合わせるのも効果的です。
成人向けのデザインも可能ですが、その場合は18歳未満への販売は禁止されているため注意が必要です。
同人グッズの販売数をアップするコツ2.人気のあるグッズを作成する
デザインだけでなく、需要の高いグッズを選ぶことも重要です。
定番のアクリルスタンドやキーホルダーに加え、スマホケースやメガネ拭き、コースターといった日常的に使える雑貨も人気があります。
「飾って楽しむ」ものと「使って楽しむ」ものの両方を兼ね備えたグッズは、特に需要が高い傾向にあります。
同人グッズの販売数をアップするコツ3.手に取りやすい価格設定をする
頒布価格は自由に決められますが、あまりに高すぎると購入をためらう人が増えます。
他のサークルが似たグッズをどのくらいの価格で頒布しているかリサーチし、価格設定の参考にしましょう。
同人グッズの価格は制作者が自由に決めてかまいません。
しかし、イベントで頒布する場合は、周囲のサークルと価格差があると敬遠される可能性があるため、注意が必要です。
同人グッズを販売する際の注意点
同人グッズを作成・頒布する際は、同人誌とは異なる注意点があります。
トラブルを避けるために、必ず以下のルールを確認しましょう。
販売する際の注意点その1.二次創作のガイドラインを必ず確認
作品によっては、二次創作に関するガイドラインが設けられています。
ガイドラインを必ず一読し、ルールに従って制作しましょう。
ガイドラインには、販売できるグッズの価格や数に制限がある場合があります。
例として、ゲーム『刀剣乱舞』を販売しているニトロプラスでは、同人グッズに以下の制限を設けています。
- 販売総数は200個以下、売上予想価格は10万円まで
- 直接販売(イベント、小規模通販)であること
- キャラクターのイメージを損なわないこと
企業によっては「同人誌は黙認するが、グッズは禁止」としているケースもあるため、必ず確認してください。
販売する際の注意点その2.公式のロゴ・イラストは使わない
公式のロゴやイラスト、背景は使用できません。トレースや模写も不可です。
作品内に登場するロゴや校章なども版権があるため、注意が必要です。
また、企業のロゴなどは商標登録されているものもあります。商標登録してあるロゴやマークは無断で使用できません。
商標登録について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
参照:「知っておかなきゃ、商標のこと!商標を分かりやすく解説!」|政府広報オンライン
販売する際の注意点その3.既存のグッズとデザインの類似に注意
公式からすでに販売されているグッズと似たデザインのものを制作すると「コンテンツを無断でコピーした」と判断されるケースがあります。
制作者にそのつもりはなくてもトラブルに発展した事例もあるため、注意が必要です。
コピー商品の一例を挙げると、2021年に人気漫画「鬼滅の刃」の便乗商品を販売したとして、経営者4名が不正競争防止法違反(周知表示混同惹起行為)の容疑で逮捕されています。
参照:「鬼滅の刃」の便乗商品を販売、不正競争防止法違反で経営者ら4名逮捕
キャラクターが作品内で使用していた服、小物、食器類のグッズは一定の需要があるため、グッズ化したい方もいるでしょう。
しかし、これらは「公式のグッズ」と誤解される恐れがあります。
例えば「千と千尋の神隠し」の中に出てきた「魔女の刻印」のように公式がアニメに出てきたグッズを発売する事例もあるため、特徴的なグッズと類似したものは避けたほうが無難です。
参照:好きな文字入るよ!ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の”魔女の契約印”がオーダー印鑑に
販売する際の注意点その4.ハンドメイド作品の注意点
ぬいぐるみの服を販売する場合も、公式と誤解されないような注意が必要です。
小さくても、公式のロゴなどを使わないようにしましょう。
また、コスチュームをはじめとする特徴的な衣装を着せると著作権法違反に問われる可能性があります。
このほか、キャラクターが印刷された布など、商用利用が禁止されている素材にも注意が必要です。
参照:【弁理士監修】ハンドメイドの著作権・商標権とは?販売しなくても注意!
同人グッズにはどんな種類がある?代表例を紹介
ここでは、小ロットから作りやすい同人グッズの種類をご紹介します。
- 定番商品
- 生活雑貨
- 食器類
それぞれの特徴やメリット・デメリットも紹介するので、グッズ選びの参考にしてください。
同人グッズの種類その1.定番商品
同人グッズの定番商品には以下のようなものが挙げられます。
- キーホルダー
- アクリルスタンド
- クリアファイル
- ポストカード
- ステッカー
- シール
- タペストリー
- 法被(はっぴ)
定番グッズは小ロットでも安価で作成してくれる印刷所が多いため、選択肢が多いというメリットがあります。
また、作成価格も比較的安価なので、販売価格を抑えられるでしょう。
同人誌のノベルティとしてつけたい場合も、定番商品はおすすめです。
一方、公式からのグッズと混同されないように、デザインの工夫は必要です。
心配な方は、公式から販売されているグッズをチェックしてみてください。
キャラクターのイラストだけでなく。アニメや漫画、ゲームに登場する「架空の学校の名前」や「架空の部署の名前」「架空のロゴマーク」も注意が必要です。
例えば、シン・ゴジラのグッズである「巨災対クリアファイル」は「実務的な備品をイメージしたグッズ」として登場人物の写真ではなく、架空の部署名を記載して販売されています。
「架空の部署の名前」を同人グッズに記載してしまうと、公式と紛らわしいと判断される場合もあるでしょう。
例えば、シン・ゴジラのグッズである「巨災対クリアファイル」は「実務的な備品をイメージしたグッズ」として登場人物の写真ではなく、架空の部署名を記載して販売されています。
「架空の部署の名前」を同人グッズに記載してしまうと、公式と紛らわしいと判断される場合もあるでしょう。
同人グッズの種類その2.生活雑貨
普段使いできる生活雑貨のグッズには、以下のようなものが挙げられます。
- ミニタオル
- メガネ拭き
- ハンカチ
- マウスパッド
- マルチケースなど
- 抱き枕カバー
- ポーチ
- タオル類
生活雑貨の最大のメリットは普段使いしやすい点です。
「同人グッズに興味があるけど飾る以外の使い道がない」という理由で同人グッズの購入をためらっている方でも、普段使いできるグッズなら購入してくれる可能性があります。
また、グッズを選べた他のサークルとの差別化も図れる点もメリットです。例えば、同人誌と共に販売する場合、「作中で登場したスポーツをしているキャラが使っている設定のタオル」等のストーリーも作れます。
デメリットは、デザインが難しくなりがちな点と、グッズによって売り上げに差が出やすい点です。
普段使いのグッズは通常の雑貨と同じように使えるのが最大のメリットです。
そのため、抱き枕カバーなど一部のグッズを除いて、キャラクターが大きく描かれたデザインだと販売数が見込めない可能性があります。
さらに、公式のロゴやシンボルマーク等をデザインに使うこともできません。
デザインを工夫できる方向けの製品です。
同人グッズの種類その3.食器類
食器類も、同人グッズの中では人気があります。
以下のような定番商品のほか、現在では、アウトドア用の食器も登場しています。
- グラス
- プレート
- カトラリーセット
- 湯呑
- マグカップなど
食器類は、自分が使って楽しむ、飾って楽しむ、キャラクターと生活しているような気分を楽しむなどさまざまな使い方ができる点がメリットです。
また、定番グッズや普段使いのグッズに比べて高値をつけても販売数が見込めます。
デザイン次第でオシャレなグッズになるため、デザインに自信がある方は挑戦してみるのも楽しいでしょう。
デメリットとしては食器類はかさばるため、会場で販売できる数が限られている点です。
例えば、コミックマーケットでは、1サークルで参加できるスペースが机の半分の幅90cm × 奥行き45cmです。
食器類をメインに販売したい場合は、2つ分のスペースを申し込むなど工夫しましょう。また、途中で破損しないように梱包にも工夫が必要です。
まとめ
同人グッズは種類が豊富で、デザインする楽しさもあります。同人誌と一緒にグッズも販売したいと考える方も多いでしょう。
グッズを制作する際は、必ず二次創作のガイドラインを確認し、ルールに沿って制作することを心がけましょう。
また、在庫を抱えすぎると保管が大変になるため、販売方法や販売見込み数をよく検討した上で発注することが大切です