「同人即売会に参加してみたいけれど、何から始めたらいいのかわからない」「失敗しないか不安…。」そんな気持ちから、なかなか最初の一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、サークル参加初心者の方に向けて、申し込みから当日の準備、イベント終了後までの流れをわかりやすく解説しています。
この記事を読むことで、安心して即売会に参加できる自信がつくはずです。
同人誌即売会とは?
同人即売会(同人イベント)は、同じ趣味や創作活動をする仲間が集まり、自作の漫画・小説・イラスト・音楽などの同人誌やグッズを直接頒布(はんぷ)・交換できるイベントです。
ジャンルは、既存作品やキャラクターを題材にした「二次創作」と、完全オリジナルの「一次創作」に大きく分かれます。
一般参加では主に作品を購入して楽しみますが、サークル参加になると、自分の作品を並べて頒布したり、来場者や他サークルと交流したりと、より深くイベントに関われるのが魅力です。
普段は会えない同じ趣味の仲間と直接話せたり、感想をもらえたりと、創作活動のモチベーションにも繋がることが人気の理由でもあります。
ちなみに同人即売会では、一次創作は「販売」、二次創作は「頒布」と表現するのが一般的です。
これは、オリジナル作品は商品として販売できるのに対し、二次創作はファン活動として“みんなに分け合う”意味を込めて「頒布」と呼ばれているためです。
参加する即売会を決めよう
同人即売会は、実際に参加してみることで初めてわかる魅力や雰囲気があります。
規模はさまざまで、地方開催なら数百人規模、都市部では数十万人が集まる大規模イベントもあります。
コミケのような大規模イベントは、サークル数も多く、多種多様な作品に触れることができるのが魅力ですが、会場も広く混雑も激しいため、初心者にはややハードルが高いかもしれません。
また、参加形態や雰囲気もイベントによって異なります。
たとえば、幅広いジャンルが集まる『オールジャンルイベント』、特定作品の二次創作に特化した『オンリーイベント』、男性向けや女性向けなど、テーマ別の即売会などがあります。
自分の目的や作品ジャンルに合った即売会を選ぶことが、当日を最大限楽しむコツです。
同人即売会の種類
種類の違いがわかると、「サークル参加してみたい」即売会が見つけやすくなります。
ここでは代表的なジャンルを紹介します。
同人即売会の種類1.オールジャンルイベント
オールジャンルイベントは次のような特徴があります。
初めてのサークル参加なら、まずはオールジャンルイベントがおすすめです。
- 特定のジャンルに縛られず一次創作から二次創作まで多様な作品が集まる王道スタイル
- 参加者層が幅広く、初心者も参加しやすい
- 全国各地で中規模〜大規模で開催されている(コミケやコミックシティなどが有名)
有名なオールジャンルイベントは赤ブーブー社(通称赤ブー)が主催で行っているため、サイトを確認すると直近の予定などを確認することができます。
「王道の即売会にサークル参加したい」「さまざまなジャンルの作品に触れたい」という方におすすめです。
同人即売会の種類2.オンリーイベント
オンリーイベントとは、特定の作品やカップリング(特定のキャラクター同士の組み合わせ)の二次創作作品が集まる即売会を指します。オンリーイベントは次のような特徴があります。
- 特定の作品の同人誌やグッズのみ欲しい人に作品を届けやすい
- 特定の作品やカップリングだけの即売会に参加がしたい人向け
- 主催はスタジオYOUが多く、サイトで直近の予定を確認することができる
- 赤ブー社でもオールジャンルイベント内でも『プチオンリー』として特定ジャンルのミニ企画が行われることがある
「好きな作品やカップリングが明確で、ニッチなジャンルで参加がしたい」人や、「より狭いターゲットに自身の作品を届けたい」といった方におすすめなイベントです。
同人即売会の種類3.オリジナル作品向けイベント
同人と聞くと二次創作を連想しがちですが、オリジナル作品だけが集まる即売会も存在します。
- オリジナル(一次創作)の創作作品のみが販売される
- 自作キャラクターや自分の世界観を見てほしい人向け
- 漫画や小説のほか、エッセイやレポ漫画、写真集など多様なジャンルの作品が並ぶ
- 代表的な即売会はコミティア、関西コミティアなど
オリジナル作品向けの同人即売会に参加したい」「自分だけの創作世界観を見てもらいたい」といった方におすすめの即売会です。
同人即売会の種類4.大型イベント(コミケ・コミックシティなど)
- 夏と冬に開催されるコミックマーケット(コミケ)は国内最大規模で、2日間で延べ30万人近くが来場。
- 参加者が多いため、初心者にはややハードルが高め
- 大規模イベントの場合はまずは一般参加からがおすすめ
- 赤ブーブー社が主催の東京・大阪・福岡などで開催されるコミックシティ/スーパーコミックシティもコミケ以外で大型イベントとして人気がある
ある程度同人即売会の参加に慣れて実績がある人や、部数も増やして参加がしたい、大規模の即売会に参加してみたい人向け。
初心者におすすめのイベント
まずは気軽に参加できるオールジャンルイベントがおすすめです。
オールジャンルイベントはジャンルに縛られない分参加者層の幅も広く、初心者でも参加しやすい雰囲気があります。
一方でオンリーイベントは、その作品やカップリングが好きな人しか来ないため、作品が刺されば大きい反響を得られる可能性があります。ただし、需要が限られていたり、参加者の作品に対しての熱量が高い傾向もあるため、まずはオールジャンルイベントで経験を積んでから挑戦するのが安心です。
また、オリジナル作品で参加したい場合には、コミティアなどのオリジナル作品向けイベントもおすすめです。二次創作に埋もれることなく、自分の作品をしっかりとアピールすることができます。
同人即売会に申し込む流れ
同人即売会にサークル参加をするには、以下のステップを踏みます。
項目 | 内容 | |
1 | 参加したい即売会を選ぶ | 日程や場所、ジャンル傾向を確認して、自分の頒布物に合った即売会を選ぶ。 |
2 | 必要な情報を集めて申し込む | サークル名、参加ジャンル、サークルカット(カタログ掲載用イラスト)などを用意し、公式サイトや申込フォームから申し込みを行う。 |
3 | 参加費を支払う | 銀行振り込みやコンビニ決済など、指定の方法で振り込みます。 |
4 | 当落通知を待つ | メールや公式サイトで発表されます。 |
5 | 当日に向けて準備を始める | 当選したら、頒布物や設営用品の準備に取り掛かります。 |
即売会に向けての事前準備をしよう
無事に即売会に当選したら、当日に向けて準備を始めます。
準備は頒布する作品から細々とした設営周りの物まで多岐に渡ります。
即売会に向けて必要な準備や流れを、期間に分けて解説します。
- 3ヶ月〜1ヶ月前から始める準備
- 1週間前から始める準備
- 前日に行う準備
サークル参加が初めての方はもちろん、経験がある方でも「準備の流れを整理したい」というときに役立ちます。
即売会の種類や経験に関係なく、基本の準備ステップは同じです。
このあと紹介する期間別のチェックポイントを押さえておけば、「締切に間に合わない」「忘れ物で当日トラブルになる」といった失敗を防ぐことができます。
まずは全体の流れをイメージしながら読んでみてください。
3ヶ月〜1ヶ月前から始める準備
同人即売会にサークル参加する場合、もっとも大切なのはスケジュール管理です。
この時期に始めたい準備は大きく3つあります。
- グッズや同人誌など、頒布物の準備を行う
- SNSを活用して宣伝も忘れずに!
- 同人誌やグッズは何部用意すればいい?
学業や仕事の傍らで創作活動をする場合は余裕を持ったスケジュールで準備を進めるのが理想的です。
参加が決まったらすぐに着手し、余裕を持って完成を目指しましょう。
1.グッズや同人誌など、頒布物の準備を行う
ただ自由に作品を作るのではなく、印刷会社が提示している原稿作成のルールを確認しながら進めることが重要です。大まかな流れは以下の通りです。
項目 | 内容 | |
1 | 何を作るかを決める | 同人誌、イラスト集、小説本、グッズなど、形態や内容を決定します。 |
2 | 印刷会社を決める | 価格、納期、印刷方法、対応サイズなどを比較し、自分の作品にあった会社を選びます。 |
3 | 納期と締め切りを確認 | イベント日に間に合う納期か確認し、余裕を持ってスケジュールを立てます。 |
4 | 原稿作成・入稿 | 印刷会社のガイド(解像度、塗り足し、カラーモードなど)に沿って、原稿を作成し、締切までに入稿します |
5 | 納品先を指定して受け取る | 自宅やイベント会場など、受け取り場所を指定します。 |
同人誌やグッズを作る場合、多くの印刷会社で『早割』『割り増し』などの設定が存在します。
余裕を持った『早割期間』で入稿することができれば割引が適用され、逆に納期ギリギリの場合は割り増しといって通常よりも多い料金で印刷をしてもらうことになります。
2.SNSを活用して宣伝も忘れずに!
イベントに参加することが決まったら、SNSで告知しましょう。
原稿制作中の進捗や、漫画の冒頭ページを載せたりなどして進捗を宣伝することは、自分のモチベーションの維持に繋がる他、投稿を見て当日作品を買いに来てくれる人が増えることも期待できます。
3.同人誌やグッズは何部用意すればいい?
部数や個数はイベント規模やジャンルの人気度によって大きく変わります。
明確な正解はありませんが、初めてのサークル参加なら10〜30部程度を目安に頒布するのがおすすめです。少なめに刷れば、在庫を抱えても負担が少なく安心です。
また、SNSでの事前反応(いいね、リポスト数など)や、ジャンルやカップリングの人気度を参考にするのも有効です。
たとえば、制作過程の投稿に50いいね前後なら10〜20部、100いいねを超えるようなら20〜40部程度を目安に考えると安心です。
ただし、SNSにつくいいねは応援や既読感覚でも押されることが多いので、『いいねの数=購入数』ではないことに注意しましょう。実際に購入してくれるのはいいねの数の1〜3割程度と考えると現実的です。
中〜大規模(数千〜数万人規模)の即売会ではSNSの反応が2〜3割程度まで動く可能性もあります。
制作の過程をSNSに投稿して反応を見ながら、予算や在庫保管スペースと相談して部数を決めましょう。
万が一在庫が余ってもBOOTHなどの通販を活用すれば次に繋げることができます。
1週間前から始める準備
作品が完成し、印刷・製作が終わったら、会場への搬入方法を決めます。搬入とは、即売会会場に頒布物を届けることです。搬入方法は大きく3種類(直接搬入、宅配搬入、自力搬入)あります。
また、作品の内容や価格をわかりやすく伝えるための値札やお品書きを準備することも重要です。
1週間前に始めると良い準備は以下の2つです。
- 直接搬入、宅配搬入、自力搬入のいずれかを決める
- お品書きやディスプレイの準備
これらを整えておくと、当日スムーズに頒布を始められます。あわせて、お品書きをSNS用にまとめて事前に宣伝をしておくのもおすすめです。
1.直接搬入、宅配搬入、自力搬入のいずれかを決める
搬入方法にそれぞれメリット・デメリットがあるため、違いを見ていきましょう。
搬入の方法 | メリット | デメリット |
直接搬入 |
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宅配搬入 |
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自力搬入 |
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自分でスペースまで頒布物を運べそうな場合は、比較的安価で利用できる宅配搬入を試し、部数が増えてきたら直接搬入という風に変えるのも良いでしょう。
あるいは、自宅やコンビニ、印刷所で自分で印刷と製本を行う「コピー本」というものもあります。
お試しで作りたい場合などはコピー本も一つの手段として検討するのもおすすめです。
2.お品書きやディスプレイの準備
作品作りができたら、手に取ってもらいやすいようにその作品を魅力的に見せる必要があります。
買いに来てくれた参加者が分かりやすいようにお品書きを用意したり、見やすくディスプレイをするために棚や敷き布を用意するなどして、机周りで必要な準備も行いましょう。
前日に行う準備
前日の確認も即売会参加前には重要です。
持ち物の種類を大きく2つに分けて紹介します。
- 100均で揃えられる、持っていくと役立つアイテム
- 絶対に忘れてはいけない物の紹介
特に、絶対に忘れてはいけない物を忘れてしまうと、当日会場入りができなくなってしまうため、注意が必要です。
持っていくべきアイテムを整理し、忘れ物の無いように準備を行いましょう。
1.100均で揃えられる、持っていくと役立つアイテム
同人即売会に持っていくと便利なものは大抵100均一ショップで揃えることができます。
種類と使い道について解説します。
あると役に立つアイテム | 用途 |
ペン、紙、テープなどの文房具 | 「離席中」「完売しました」など、参加者に状況を伝えるため |
カッター、ハサミ | 頒布物が入っている段ボールを開封するため |
ゴミ袋 | 撤収時のゴミの片付けるため |
ブックスタンド・イーゼル | 見本誌やお品書きを立ててディスプレイするため |
クリアファイル | チラシや書類などの小物整理のため |
飲み物・軽食 | 長丁場になるので、水分や軽食は必須です |
コインケース | お釣りを入れるため |
万が一忘れても即売会に参加することはできますが、基本的に無いと困るものばかりです。
できる限り持参していくことをおすすめします。
2.絶対に忘れてはいけない物の紹介
役立つアイテムとは別に、絶対に忘れてはいけないものもあります。
当日慌てなくても大丈夫なように、前日のうちに用意をしておきましょう。
必須の持ち物 | 用途 |
サークルチケット(サークルPASS) | 早期入場や設営のために必要 |
頒布物 | 忘れてしまうと売ることができません |
お釣り用のお金 | 余裕を持って十分なお金を用意しましょう |
値札・お品書き | 作品の値段を表示するために必要 |
これらのアイテムを忘れてしまうと、せっかく楽しみにしていた即売会への参加が楽しめないものとなってしまいます。ここをしっかりと押さえておけば、安心して当日を楽しむことができます。
当日の流れ
同人即売会の開催は大体朝の10時ごろ〜15時ごろまでが一般的。
長時間の参加になるため、前日は十分な睡眠をとり、体調を整えておくことが大切です。
サークル参加者は設営のため一般参加者よりも早く入場することができます。
原則2時間前から入場することが可能で、一般入場時間よりも30分以上遅れると、別途入場券が必要になる場合があるため気をつけましょう。
頒布する作品の種類が多くなくても、手に取りやすい設営にするには案外時間がかかるもの。
開始時間の1時間半前には自分のスペースに到着できていると安心です。
参加時のマナーについて
同人即売会に参加しているサークルは、いずれもその日のために準備に時間をかけ、この日を楽しみにしている仲間です。全員が気持ちよく即売会に参加できるよう、以下のマナーを守って参加をしましょう。
- スタッフや両隣のサークルへの挨拶
- 隣のスペースを邪魔しない設営
- 他のサークルや作品を貶すような発言
お互いが気持ちよく即売会を楽しめるように心がけましょう。
撤収後の流れ
完売またはイベント終了時間になれば撤収作業を行います。
ゴミや忘れ物が無いか、机の下や椅子の上まで確認を行いましょう。
撤収後は会場内が混雑するため、搬出方法(宅配・自力など)を事前に決めておくとスムーズです。
撤収後の流れは以下のとおりです。
項目 | 内容 | |
1 | 撤収のタイミングを決める | 必ずしも終了時間まで滞在する必要はありません。サークルによっては売上状況を見て早めに片付け始める場合もあります。 |
2 | 頒布物や設営道具の片付け | テーブル上の頒布物や小道具をまとめ、持ち帰るか宅配搬出の準備を行います。宅配搬出とは、在庫を段ボールで自宅や倉庫に宅配できるサービスです。 |
3 | スペースの整理・清掃 | ゴミは分別し、専用のゴミ置き場へ。忘れ物が無いかチェックし、スペース番号札や椅子などは主催から渡された物は指示に従って返却・片付けを行います。 |
4 | 挨拶をして撤収する | 最後に隣のサークルやスタッフに「お疲れさまでした」と一声かけると気持ちよく撤収できます。 |
閉会時間よりも早めに撤収作業を始めても問題ありませんが、片付け中に隣や後ろのサークルの邪魔にならないように注意をしましょう。
搬出について
イベント終了後、作品が完売せずに在庫が残った場合は以下の方法があります。
- 手荷物として持ち帰る
- 宅配業者を利用する
宅配業者を利用する場合は、即売会ごとに受付場所や時間が異なるため、事前確認が必須です。また、イベント終了時の16時ごろは混雑するため、注意が必要です。早めに手続きを行うと良いでしょう。
在庫の通販も活用しよう
作品の在庫がある場合、即売会に参加できなかった読者にも作品を届けられる方法として、通販があります。BOOTHやpictSQUAREといった同人向けの自家通販サービスを使うと在庫管理や発送の手間を軽減できます。
一人参加でも安心!初心者が同人即売会が楽しむコツ
初心者が同人即売会を楽しむコツは事前準備です。
同人即売会は、作品づくり → 設営準備 → 頒布・接客 → 在庫管理と、多くの工程があります。
大変に思えるかもしれませんが、数ヶ月前から計画を立て必要なものを事前に揃えておけば、初心者でも安心して楽しむことができます。
不安な時は売り子を頼もう!当日の心強いサポーター
「一人では不安」「当日誰かに手伝ってほしい」という場合は、売り子を頼むのもおすすめです。
売り子とは、頒布や接客を手伝ってくれるスタッフ的な存在。1スペースの広さは限られているため、基本は1名程度に頼むのが理想です。
売り子がいると設営の準備や頒布中の手伝いはもちろん、席を外したい時にサークルに残ってもらえるなど、様々なメリットがあります。
その一方で、金銭を扱うため、信頼できる人に頼む必要があります。
また、長時間に及ぶ参加となるため、マナーとしてお礼をすることも忘れないようにしましょう。
まとめ
同人即売会は全国各地で開催され、多くの作家が参加して交流や作品発表を楽しんでいます。
準備には時間と労力がかかりますが、そのぶん達成感や即売会ならではの喜びがあります。
初めは「売れなかったらどうしよう…」と不安に思うかもしれませんが、同人即売会の魅力は頒布だけではありません。
たとえ思うように売れなかったとしても、それ以上に得られる経験や楽しみがたくさんあります。
作品を手にとってもらえた瞬間の喜びや、SNSを通じて繋がっていたフォロワーさんに直接会えた時の感動など、売れた数以上に大きな価値を得ることができます。
ほかにも、自分が作り手として参加をすることで他の作品のこだわりが見えてくるなど、新たな発見に繋がるのも魅力のひとつです。
ぜひ一度、サークル参加に挑戦してみて自分の作品を発表する喜びを味わってください。