せっかく時間と愛情を込めて作った同人誌やグッズ。
その魅力を伝える最後のひと押しをするアイテムが「値札」です。
ただ値段を書くのではなく、少し工夫するだけで作品の世界観を表現でき、手に取ってもらいやすくなります。
この記事では、初心者でも簡単に実践できる「伝わる値札」の作り方と置き方のコツをご紹介します。
金額設定の考え方についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
値札は値段だけではだめ!即売会で選ばれる値札の工夫
たくさんの作品が並ぶ会場で、どの作品を選ぶか迷ったときのお助けアイテムとなるのが値札です。
必要な情報をわかりやすく提示することで、一般参加者も作品を手に取りやすくなります。
「これはどの作品の値札?」「新刊はどれ?」などといった不要なストレスを避けるためにも、値札作りには工夫が必要です。
ここでは、わかりやすい値札を作るためのポイントを紹介します。
分かりやすい値札を作る3つのポイント
実は、即売会の値札は値段だけでは不十分と言えます。
一般参加者の人もひと目で「わかりやすい!」と思える情報を押さえて、ユーザーファーストな値札作りを行いましょう。
分かりやすい値札を作るポイント1.大きく目立つ色で値段を書く
複数の作品が並ぶ机の上では、細いペンで書かれた小さな値段は目に入りにくく、雑な印象を与えてしまいがちです。
太く・目立つ色で・大きな文字で金額を表示するだけで、ぐっと見やすい値札になります。
デジタルで値札を作成する場合は縁取りのあるフォントを使うなど、視認性を意識すると更におすすめです。
分かりやすい値札を作るポイント2.ラベルとカラーを工夫する
同人誌やグッズに新作がある場合は、過去に制作したものと分けて値札を作成すると、新作を目当てに足を運んでくれたファンにも親切で印象も良くなります。
ラベルに大きく『新刊』と書いたり、値札の色分けや、サイズを変えるなど、ラベルや色分けを活用すれば、誰が見ても一目で新刊がわかるようになります。
分かりやすい値札を作るポイント3.カップリング、あらすじ、ページ数など本の情報も押さえよう
同人誌の場合は値札だけでなく、作品の基本情報も簡単に加えると、買うか迷っている人の後押しになります。
カップリング(キャラクターの組み合わせ)や、あらすじ、ページ数などを明記すれば、読者の判断材料にもなります。
上下巻や続きもの、過去の話をまとめた再録本の場合は、買いに来た人が勘違いをしないように、わかりやすくはっきりと明記することで、勘違いを防ぐためにもはっきりと書いておくと安心です。
また、成人向けの作品は必ず年齢区分を明記しましょう。忘れると頒布停止の対象となるため、注意が必要です。
情報を詰め込みすぎると逆に見づらくなるため、ポイントを押さえて記載をするのが見やすい値札作りに重要です。
即売会の値札の作り方は?
手書きや印刷、テンプレート活用など、さまざまな方法で作れます。
手書き・またはデザインが苦手な人にも、自分に合った方法が見つけられるように、ここでは初心者でも値札を簡単に作れる代表的な方法を種類別に紹介します。
テンプレートで簡単デザイン!センスに自信がなくてもOK
テンプレートを使えば、デザインが苦手な人でも短時間でおしゃれな値札を作成できます。
ダウンロードしたデータをCanvaのようなデザインツールで値段を文字入れしてから印刷する方法や、そのまま印刷してから手書きで値段やページ数を書き込むなど、用途に合わせて柔軟に作成できるのも魅力です。
Canvaで値札を作成する場合は、テンプレートから「プライスカード」や「ショップカード」などと検索をかけると、多様なテンプレートが見つかります。
同人向けにデザインされていない値札でも、デザイン次第で応用は可能です。
やり方は以下の通りです。
- Canvaのテンプレートから「プライスカード」を検索
- 好みのデザインを選ぶ
- 『このテンプレートをカスタマイズ』をクリック
- 値段など内容部分を変更する
- 無料ダウンロードをする
- 家庭用プリンターorコンビニプリントで、厚紙で出力
文字の大きさなども変えられるため、必要に応じて値段を大きく見せるなどの工夫をすると良いでしょう。
値札のデザインを選ぶときは、自分のサークルの方向性や、頒布物の雰囲気に合わせて選ぶと、統一感が出ておすすめです。
たとえば以下のように、頒布物や作品の雰囲気に合わせて選ぶと効果的です。
シリアス系同人誌:寒色系やシンプルなデザインだと直感的に本の方向性まで感じ取ることができます。
シリアス系同人誌の値札テンプレート例はこちら
ギャグ漫画系同人誌:黄色など明るい色で、文字も大きめだと漫画の勢いも伝わりやすい。
ギャグマンガ系同人誌の値札テンプレート例は こちら
カラフル・ポップ系グッズ:缶バッチやアクリルキーホルダーなどのグッズに最適です。
カラフル・ポップ系グッズの値札テンプレート例はこちら
シンプル系グッズ:大人かわいいデザインの文房具やきれい系ポストカードなど値札におすすめ。世界観を邪魔せずに表現できます。
シンプル系グッズの値札テンプレート例はこちら
ただし、あまりデザインに凝りすぎると値段が分かりにくくなるなど本末転倒です。
値段が小さいときなどは大きさを変えるなどして、バランスを見ながら値札作りを楽しみましょう。
既製品のカードで簡単可愛く作成
手書き派には、100均や雑貨店で購入できる既製品のカードを使うのもおすすめです。
派手すぎると文字が読みにくくなるため、シンプルなものを選ぶと安心です。
自分の筆跡や好みのデザインで値札作りができるため、統一した世界観での値札作りができます。
ネットプリントならコンビニで手軽に印刷ができる
「テンプレートを使ってきれいに値札を作りたいけど、家にプリンターが無い」という場合は、コンビニのネットプリントを使えば手軽に印刷することが可能です。
作りたいデザインのテンプレートをダウンロードして、専用のアプリに登録すれば、近くのコンビニで印刷が可能。手軽に、安く、きれいな値札が用意できます。
値札のサイズは?Lサイズがおすすめだけどサイズ調整も大切
値札を作る際は、大きさにも注意しましょう。
小さすぎても情報が密集して見づらく、大きすぎても表紙やグッズが隠れてしまってもったいない。
同人誌で多く見られるサイズはA5やB5サイズのため、それらに合わせてLサイズ(89mm × 127mm)くらいで値札を作ると、表紙の邪魔にならない、ちょうどいいサイズの値札が完成します。
ポストカードやアクリルキーホルダーなど小さいグッズの場合は、名刺くらいのサイズを用意するなど、作品の大きさに合わせて使い分けるのも重要です。
テンプレートを活用する場合は既に大きさが決まっているため、自分の作品のサイズと比較してテンプレートを選ぶと良いでしょう。
おすすめの値札の置き方3選
値札が完成したら、次は置き方です。
スタンド型、本と一体型など、サークルによって値札の置き方の工夫はさまざま。
ここでは、代表的な値札の置き方の種類と、その特徴を紹介します。自分にあった値札の置き方を取り入れると、当日の設営のときもスムーズで、迷うことなく準備を進めることができます。
おすすめの値札の置き方その1.カードスタンドを使って立体的に
100均やホームセンターには、カードを挟んで立たせることができるカードスタンドが複数販売されています。
カードスタンドタイプを使えば、値札を立体的に置くことができるため、見やすくわかりやすく提示できます。
作品数が多い場合、全てをスタンドタイプにしてしまうと、逆に見づらくなってしまったり、机の上がゴチャつく可能性がありますが、新刊だけスタンドタイプにするなどの工夫をすれば、自然と目立たせることができます。
おすすめの値札の置き方その2.見本に貼り付けて手に取りやすく
値札を見本誌に貼り付けると、本ごとの値段がわかりやすいことに加え、在庫と見本誌の区別も簡単というメリットもあります。
100均でも購入ができる透明のブックカバーを見本誌に使えば、本を傷つけずに値札を貼ることも可能です。
本に値札を貼る場合は、表紙の角に合わせて貼るなど配置を工夫をすれば、表紙のイラストやタイトルの邪魔を最小限に抑えて、値段や本の情報を伝えることができます。
シンプルかつ、直感的に伝えたい人向きです。
おすすめの値札の置き方その3.敷き布と一体化!倒れない&スッキリ見える値札配置
スペースの机に敷布を敷いている場合は、敷布に値札を貼り付けるという方法も便利です。
本を置く位置に合わせて値札を粘着テープで貼り付けておけば、倒れたり紛失したりする心配なく、値札を固定することができます。
新刊はスタンドタイプの値札、それ以外は敷布に貼り付けるなどの差別化をすれば、机全体がスッキリと見え、設営もしやすくなるでしょう。
即売会で売れるディスプレイの仕方については下記の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
即売会に初めてサークル参加する方や、ディスプレイにお悩みの方はぜひ参考にしてください。
即売会や同人イベントで注目度アップ!売れるディスプレイの作り方を解説
同人誌やグッズの価格はどう決める?
値札を作成するときに一番悩むのは、価格設定ではないでしょうか。
同人即売会は、あくまで利益追求ではなく、自分の作品を広めることが主な目的とされています。
そのため、過度に利益を上乗せした価格設定にするのはおすすめできません。
同人誌の相場
同人誌の価格はページ数や装丁によって変わりますが、一般的には300円〜1000円程度が目安です。
コンビニなどのコピー機で原稿をコピーして作成する『コピー本』の場合は相場は10〜20ページ程度で200〜300円、サークルによっては数ページの簡易的なものは無料配布されていることもあります。
コピー本で500円を超えると、印刷所で作る『オフセット本』と同価格帯になるため、「コピー本なのに?」と割高に感じられる可能性があるため注意しましょう。
オフセット本の場合は、装丁にこだわりすぎず、分厚すぎないシンプルなものであれば300〜500円程度で頒布されることが多いです。
ページ数が多かったり特殊装丁で紙やデザインにこだわっている場合は1000円近く設定される場合もありますが、薄い本の場合だと「高い」と思われやすいです。
印刷代など実際にかかったコストと照らし合わせて、無理のない金額を設定すると安心です。
グッズの相場
グッズも同人誌同様、作成にかかったコストをベースに、価格設定を行いましょう。
即売会では「ポストカード3枚500円」など、セット売りも人気があります。
価格はあくまで目安なので、印刷代や制作コストと照らし合わせ、買い手にとって納得感のある価格設定を意識すると安心です。
| グッズ名 | 相場価格 |
| 缶バッチ | 100〜300円 |
| ポストカード | 100〜200円 |
| アクリルキーホルダー | 500〜800円 |
また、同人誌やグッズは、ほとんどの場合「キリの良い数字」で価格設定されています。
即売会のスペースにはレジが置かれているわけではないので、計算しやすい価格にしておくことでミス防止にも繋がり、お釣りのやり取りがスムーズになります。
まとめ
値札は値段以外にも、見やすさ、大きさ、必要な情報を加えることでグッと分かりやすくなり、作品を手に取りやすくする、大事なサポートアイテムです。
新刊との差別化や、はっきりとわかりやすい値段表記、どんな内容かわかる情報などは、買いに来てくれた人が悩むことなく、スムーズに購入することができるため、よりよい即売会体験を提供することにも繋がります。
細部までこだわった値札は、作品を際立たせ、雰囲気の良いスペース作りにも貢献します。
手書き、テンプレートの活用など、自分に合った方法で工夫すれば、初心者でも十分に魅力的な値札を作れます。ぜひ、楽しみながら準備をしてみてくださいね。


