同人誌や同人グッズは知ってるけど、「即売会ってどんなイベント?」と疑問に思ったことはありませんか?

即売会とは何か?どのように参加するの?本記事では、初心者の方に向けてその基本情報を分かりやすく解説します。

イベント参加を検討中の方は、この記事を参考に即売会デビューの一歩を踏み出してみてください。

即売会とは

即売会は『同人イベント』とも言われており、自費出版で作った自作の漫画や小説、画集、グッズなどを頒布(はんぷ)し、作品のファンと交流を楽しむ場所です。

『同人』とは同じ趣味・志を持っている個人や団体のことを言い、営利目的ではなく趣味や自己表現のために多くの作家やクリエイター、オタク文化を好む人々が即売会に参加します。

また、即売会での作品の取り扱いは頒布(はんぷ)と呼ばれています。これは営利目的の「販売」とは異なり、作品を広めることを重視する同人文化ならではの表現です。

即売会文化は日本独自に発展したもので、近年は海外のオタク文化でも「Doujin Event(同人イベント)」や「Comic Market(コミックマーケット)」といった言葉が広まっています。

即売会にはどんな種類がある?

即売会は有名なコミックマーケット(通称コミケ)から、地方で行われる小規模イベントまで、全国各地でさまざまな規模・形態で開催されています。

ここでは代表的な3種類とその特徴を紹介します。

  • オールジャンルイベント
  • オンリーイベント
  • オリジナル作品イベント

自身にあった即売会を知るためにも、ぜひ参考にしてください。

即売会の種類1.オールジャンルイベント

オールジャンルイベントでは、一次創作から二次創作までジャンルを問わず多様なクリエイターが参加する王道の即売会です。有名な例としてコミケや、赤ブーブー社が主催するCOMIC CITYやSUPER COMIC CITYといったイベントがあります。全国各地で中規模〜大規模で開催されており、年中参加できるのも魅力です。

作品が特定されているオンリーイベントは、作品の人気や流行によって開催頻度が変わります。一定数のサークル参加者を集める必要があるため、ニッチなジャンルや一昔前に流行した作品などでは、毎月開催するのは難しいのが現状です。一方、オールジャンルイベントであれば流行に左右されにくく、安定して年中開催をすることが可能です。

また、同人即売会では大きく分けて2つのスタイルがあります。既存の作品やキャラクターを題材にして創作する「二次創作」と、完全オリジナルで作品づくりを楽しむ「一次創作」です。オールジャンルイベントはこのどちらのサークルも参加することが可能です。

即売会の種類2.オンリーイベント

オンリーイベントは、二次創作ジャンルの特定の作品やキャラクターに絞った即売会です。

オールジャンルイベントではジャンルごとにスペースが分かれますが、オンリーイベントでは会場全体が1つのジャンルやカップリングに統一されています。

そのため参加者の熱量も高く、マイナーやニッチな作品でもファン同士が出会いやすいのが特徴です。

即売会の種類3.
オリジナル作品イベント

「創作オンリー」とも呼ばれる即売会で、二次創作ではなく完全オリジナルの一次創作作品のみが並びます。

代表例は『コミティア』があり、漫画や小説以外にも音楽やレポート漫画など、さまざまなジャンルの作品が集まり、自分の世界観を伝えたい作家に人気のイベントです。

即売会の魅力とは?

全国各地で毎月開催される同人即売会は、中規模でも数万人、大規模のものでは10万人程度の来場者が集まる一大イベントです。ここでは、即売会が人気の理由を紹介します。

  • 即売会はクリエイターとファンが直接交流できる場所
  • 自分の作品を形にして発表できる
  • 自分好みの作品に出会うことができる

即売会の魅力を知ることで、同人活動をさらに楽しめるでしょう。

即売会はクリエイターとファンが直接交流できる場所

即売会最大の魅力は、クリエイターとファンが直接つながれることです。

普段はSNSなどオンライン上でやり取りしている相手とも、対面だからこそ得られる特別な体験があります。

作品を手渡しする瞬間の表情や、感想を直接伝えてもらえる喜びは、画面越しでは得られないもの。こうした交流は創作活動の大きな励みになり、次の制作へのモチベーションにもつながります。

自分の作品を形にして発表できる

即売会は、誰でも自分の作品を形にしてファンに届けることができる特別な場所です。

「プロの漫画家を目指している」「趣味で漫画や小説を書くのが好き」という人まで幅広く参加できるのが魅力で、学生や会社員などの傍ら、創作を通じた非日常を味わうことができるのも、大きな楽しみのひとつです。

自分好みの作品に出会うことができる

小規模の即売会でも数十〜数百、中規模の場合は数千、コミケなどの大規模イベントでは数万のサークルが参加し、多様な作品を頒布するため、毎回必ず新しい出会いがあります。

新しい作家や作品との出会いがあるのはもちろん、特定の作家の新刊を楽しみに足を運ぶファンも少なくありません。

商業誌では出会えない、個性的で尖った作品に触れられるのも即売会の魅力の一つです。

即売会の3つの参加方法

即売会には作品を頒布する『サークル参加』、作品を購入する『一般参加』、キャラクターの姿で楽しむ『コスプレ参加』と大きく3つの参加方法があります。

それぞれの特徴を紹介します。

参加方法によって、楽しみ方はさまざまです。ご自身にあった参加方法がどれか考えてみてください。

即売会の楽しみ方1.
サークル参加

サークル参加とは、漫画・小説・グッズなどを創作するクリエイターが、自分の作品を頒布する形で参加することです。

準備や制作は大変ですが、そのぶん達成感が大きく感じられる参加方法です。自分の作品を発表したい、こだわりのある作品作りがしたい方におすすめです。

即売会の楽しみ方2.
一般参加

自分の作品を出さずに、主に作品を購入する立場で楽しむ参加方法が「一般参加」です。

多くのクリエイターが集まるため、自分好みの作品に出会えるのも魅力のひとつです。

また、普段オンライン上でしか交流ができないクリエイターに直接感想を伝えたり、応援の意味を込めて差し入れをして楽しんでいる一般参加者もいます。

作品を作ることよりも、他の人が作った作品を楽しみたい、新しい出会いを楽しみたいという人におすすめです。

即売会の楽しみ方3.
コスプレ参加

会場によっては、コスプレで参加できるイベントもあります。

コスプレ参加の場合は『コスプレ登録証』やコスプレ更衣室利用券』が必要で、必ず指定された更衣室でコスプレ衣装に着替えを行います。

ルールは即売会ごとに異なるため、事前に主催要項を確認しておきましょう。

同人誌や同人グッズを作るのではなく、キャラクターになりきって作品の世界観を楽しみたいという人におすすめです。

即売会に参加するには?

サークル参加と一般参加で参加方法が異なります。

サークル参加の場合は事前の申し込みが必要ですが、一般参加は多くの即売会では当日に入場券を購入して参加できます。

参加費について

即売会への参加費は会場の規模によって異なります。

一般参加の場合、コミケのような大規模イベントの場合は入場料が2,000円前後で、中規模イベントでは1,000〜1,500円程度が一般的です。

サークル参加の場合は中規模程度であれば1スペースあたり4,000円前後〜6,500円、コミケの場合は約8,000円程度の参加費となります。

いずれも主催や会場によって金額は異なるため、事前に各イベントの詳細ページを確認すると良いでしょう。

即売会はどこで行われる?

同人即売会は全国各地で行われています。

なかでも東京や大阪は大規模な即売会も年に数回行われているため、全国から参加者が集まります。

札幌・名古屋・福岡などでも小規模〜中規模のイベントが各地で開催されています。アットホームな雰囲気の中でファンや作家同士が交流できるのが魅力です。

初心者の方は、まずはアクセスしやすい都市や地元の即売会に一般参加して雰囲気を掴み、慣れてきたら大規模イベントに挑戦してみると安心です。

初心者には一般参加がおすすめな理由

同人即売会初心者の場合、まずは一般参加で即売会の雰囲気を知ることをおすすめします。

事前の準備もほとんど必要ないため、初めてでも参加しやすいのがポイントです。

実際に欲しいと思った同人誌やグッズを購入したり、サークル参加者がどのように作品を頒布しているかをチェックして、会場の雰囲気を楽しむといいでしょう。

一般参加で気をつけたいマナーとポイント

同人即売会に一般参加する場合、いくつかのマナーやポイントを押さえておくと安心です。

会場は広く、列に並ぶ可能性もあるため、歩きやすい靴で来場することが推奨されています。

また、待機列では屋外で並ぶこともあるため、暑さや寒さ対策ができるアイテムを持っていると安心できます。

所持金については、100円や500円といった小銭を多めに用意しておくと役立ちます。

開始直後に高額紙幣を出すと、サークル側がお釣りの準備ができていない場合もあるため、ちょうどの金額が払えるように小銭を準備しておくとスマートに買い物を済ませることができます。

一方で、昼以降であれば高額紙幣で支払ってもらうことでサークル側がお釣りを整理しやすく、助かる場合もあります。

時間帯に応じて支払い方を工夫すると、よりスムーズに買い物ができます。

サークル参加がしたくなったら?

サークル参加をするには、まずは参加したいイベントを選び、サークル参加や必要情報を用意して申し込みを行います。

主要なイベントを確認し、自分にあった参加可能な即売会を探しましょう。

イベントによって、当落の仕組みは異なります。

 

イベント 当落の仕組み
コミックマーケット(夏コミ・冬コミ) 申し込み多数の場合は抽選。
赤ブーブー社(コミックシティなど) 原則申込順。満了時のみ当日受付分を抽選。落選者は割引コードで返金。
スタジオYOU(オンリーイベントなど) 原則申込順。満了時のみ当日受付分を抽選。落選者は現金または割引チケット。

 

参加費を支払い、当落または申込み確定ができたら、いよいよ当日に向けて準備をスタートさせます。

頒布する同人誌やグッズを作り、印刷所に入稿を行い作品を完成させましょう。

作品の他、値札やお品書きなども準備しておくと良いでしょう。

イベントによって仕組みがことなるため、自分の参加予定イベントのルールを必ず確認してから申し込みをしましょう。

サークル参加については下記の記事で詳しく解説しています。

実際にサークル参加を考えている方はぜひ参考にしてください。

【初心者向け】同人即売会サークル参加ガイド|準備から当日の流れまでまるっと解説!

即売会ならではの用語集解説

即売会ではいくつか初心者には聞き慣れない用語があります。

その意味もあわせて知っておくと、当日さらに楽しむことができるので、押さえておきましょう。

即売会でよく聞く”サークルの種類”とは?

サークルにも規模や知名度によって、配置されるスペースと名称が異なります。

 

種類 配置場所 特徴
島中サークル(島中) 長机を島状に並べた中の一角(島の内側) 最も一般的な配置。

新規や中堅サークルが多く配置される。

お誕生日席(誕席) 島の端(通路に面した角) 人が立ち止まりやすい配置で、少し目立ちやすい。
壁サークル(壁サー) 会場の壁際に配置 大手サークルが多く、参加者が殺到しやすいため、列形成スペースを確保しやすい場所が割り当てられる。
シャッター前 会場の大きなシャッター(出入り口付近) 大規模イベントで特に人気のサークルに割り当てられる。行列ができても対応しやすい。

 

壁サークルやシャッター前は人気サークルが多いため、新刊が早期に売り切れやすく、開場直後から長蛇の列になりやすい傾向があります。

知っておくと便利!即売会の専門用語集

SNSや即売会会場では、「売り子」や「新刊落としました」など、同人界隈ならではの単語を目にする機会が多くあります。

同人即売会にまつわる専門用語をわかりやすく解説します。

 

用語 意味
売り子 当日スペースで作品を頒布したり会計を手伝う人。
スケブ(スケッチブック) ファンがサークル参加者に即興イラストをお願いする文化。本を購入した際にお願いができるが、負担軽減のため受け付けていないサークルも増えている。
最後尾札 人気サークルに列ができたとき、最後尾の人が持つ札。
落とす 予定していた新刊や頒布物を締め切りに間に合わず発行できなかった状態。
頒布(はんぷ) 利益を目的とせず、ファン活動として”みんなに分け合う”という意味がある。一次創作は「販売」とも表現される。

 

まとめ

同人即売会は、同じ趣味を持つ仲間やクリエイターとファンが直接つながれる特別な場所です。

一次創作・二次創作問わず多彩なイベントがあり、自分の作品や目的に合った即売会を選ぶことで、より楽しむことができます。

初心者の方はまず一般参加で雰囲気を体験し、その後サークル参加に挑戦すると安心です。会場では小銭の用意や基本的なマナーを押さえておけば、当日もトラブルなく楽しめるでしょう。

同人即売会は、普段は味わえない熱気や交流が体験できる特別な場です。ぜひ一度参加して、その魅力を体感してみてください。